アトリエ春風舎がオープンしてから今年で3年ほど経ちます、僕自身は劇団を主宰する傍ら青年団演出部に身を置き、今までもこのアトリエで作品を発表してきました。この度東京デスロックが青年団リンクとなり、本格的にここが創作の場になると感じています。
今回はアトリエ公演と銘打っています。この場所で創作し、発信していくという意思表示でもありますが、改めてこのアトリエを愛し、その愛情を作品に昇華させる事ができたらという思いもあります。
劇場という発表の場ではなく、アトリエという創作の場で、僕たちの作品を楽しんでいただければと思っております。
unlockシリーズの第一回目となる今回は、『アルジャーノンに花束を』をモチーフにした、人間の知についての作品になります。
なんだか理屈をこねくり回した作品になる気配ですが、僕は演劇の魅力とは、そこに俳優が存在することに他ならないと思っています。
『知』という身体性から離れた存在と、俳優という目の前の事実、思考と身体の関係を探り、そこに先進的な演劇の表現が眠っているんじゃないかと言う気がしています。
あぁ、やはり理屈をこね回しそうな気配ですが、俳優が面白い顔をしたら面白い、それが演劇だとも思っています。
演劇でしかできないこと、演劇はこんなに面白いんだという作品を作れたらと思って創作をしています。
是非僕たちのアトリエにいらっしゃって下さい。お待ちしております。
主宰・作・演出 多田淳之介
unlockシリーズ
東京デスロックは、2003年に主宰・多田淳之介が青年団演出部に所属し、以降も独自の活動を続けて参りましたが、本公演より「青年団リンク東京デスロック」としての活動を開始することとなりました。
東京デスロックは、本公演では旗揚げより一貫して『死』に直面し行き詰った人々の所作、徒労の物語を描いてきました。一方で演劇の可能性を追求すべく、SFを原作にした作品や、劇構造を利用した作品を〈caravanシリーズ〉として上演。両方向の絶妙の融合が見られる第12回本公演「再生」では、多方面から予想を上回る賛否両論が相次ぎ、その動向が期待されています。
満を持して今回より始まります〈unlockシリーズ〉は、「人生にも演劇にも鍵なんてかかっていない」という、劇団名をも揺るがす壮大なプロジェクトとして、死に至る人生をも希望的に捉え、同時に演劇の持つ表現としての豊かさ、多様性を表出させていきます。
多田淳之介
東京デスロック主宰・作・演出/青年団演出部 1976年生。
大学在学中より一人芝居やライブハウスでのイベント等の活動を始める。
1999年より動物電気に俳優として所属。
2001年東京デスロック旗揚げ、作・演出を手がけるようになる。
2002年東京デスロック第3回公演『忍法』で王子小劇場佐藤佐吉演劇賞優秀作品賞を受賞。
2003年青年団演出部に所属。
以降2006年動物電気退団まで3劇団に所属し、俳優、作家、演出家として多方面に渡る活動を続ける。
同じく2006年に青年団演出部の作家宮森さつきと共に青年団リンク二騎の会を発足させ、2007年より東京デスロックも青年団リンクとなる。
全編架空の言語による作品や、俳優と役柄を固定しない作品等、既成の演劇の枠組みに囚われない演出方法は公演毎に話題を呼び、最新作「再生」では死にゆく若者達の姿を、歌い、踊り騒ぐ30分の芝居を3回繰り返すという手法で、消耗していく俳優の体から生きる希望を描き出し大きな賛否を呼ぶ。
俳優として他劇団への客演も多く、こまばアゴラ劇場職員、富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ舞台スタッフの職にも就き、様々な角度から演劇活動を行っている。
松田弘子 Matsuda Hiroko
1984年から青年団に参加(85~89年転位・21に所属)。
《主な出演作》
<舞台>青年団『東京ノート』『ヤルタ会談』『ソウル市民』(作・演出:平田オリザ)、青年団リンク二騎の会『直線』(作:宮森さつき 演出:多田淳之介)、あなざ事情団『三人姉妹』(構成・演出:わたなべ・なおこ)、THE SHAMPOO HAT『雨が来る』(作・演出:赤堀雅秋)。
<映画>『あおげば尊し』(監督:市川準)、『進め!』(監督:沖田修一)。
熊谷祐子 Kumagai Yuko
2003年桜美林大学在学中に青年団に入団。
《主な出演作》
青年団『もう風も吹かない』『ソウル市民』『東京ノート』『北限の猿』(作・演出:平田オリザ)、青年団若手自主企画『カンガルー』(作:別役実 演出:木崎友紀子)。
村井まどか Murai Madoka
2003年桜美林大学在学中に青年団入団。
《主な出演作》
青年団『S高原から』『もう風も吹かない』『ソウル市民』(作・演出:平田オリザ)、青年団若手自主企画『男優』『別』(作・演出:多田淳之介)、『会議』(作:別役実 演出:武藤真弓)、青年団リンク二騎の会『直線』、『十六夜-いざよい-』『地球の片隅で(ライフ・レント編)』(作:宮森さつき 演出:多田淳之介)、文学座+青年団自主企画交流シリーズ『卵』(作・李康白 演出:藤原新平)など。
佐藤誠 Sato Makoto
2005年に青年団入団。青年団制作部に就く傍ら、俳優としての活動も行っている。
《主な出演作》
青年団『ソウル市民1919』(作・演出:平田オリザ)、青年団+文学座自主企画交流シリーズ『チェンジングルーム』(演出:桜井秀峰)、渡辺源四郎商店(なべげん)『夜の行進』(作・演出:畑澤聖悟)など。青年団以外に、渡辺源四郎商店のプロデューサーとしても活動している。
佐山和泉 Sayama Izumi
早稲田大学演劇倶楽部を経て、2004年より東京デスロックに参加。『社会』以降全ての作品に出演。
《主な出演作》
東京デスロック『安心』『3人いる!』『再生』ポツドール『愛の渦』『夢の城』(作・演出:三浦大輔)、庭劇団ペニノ『UNDERGROUND』(作・演出:タニノクロウ)など。