夫が生きてることを願う女と、妻が死んでることを願う男が出会う。ミズノオト・シアターカンパニーの平松れい子による新作。
令和18年、度重なる大規模な土砂崩れによりインフラの一部が使えない状況が続き荒廃した日本。
行方不明の夫を探す女の隣に引っ越してきた、行方不明の妻を探す男。
女は夫が生きている事を願っているが、男は妻が死んでいて欲しいと願い、更地を掘り続ける。
噛み合わないふたりの交流の果てに……
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【終わりのないコロニー】
過去にすがる女と過去に怯える男、そしてそれぞれの伴侶。青年団の近藤さんと、ワークショップを数年重ねていくうちに私の頭に浮かび上がってきたイメージがそれでした。狭く仄暗い、長屋のような空間での探り合いを、まるで延々と続いていく終わりのないコロニーのように描き、そこで繰り広げられる悲喜こもごもを書きたいと思いました。伴侶への関係が築けないまま、藁をもつかむ思いなのにつかむ藁さえなく、ご近所さんがどんどんいなくなり静かになっていき閑かさを極め、つかむ藁のない女はただ、座っている。そこに男がやってきて、ちぐはぐな交流が始まります。
過去と戯れるしか生きがいを見いだせない男女が、どのようにして一歩未来へ進むのか?
是非劇場へお越し下さい。
作・演出:平松れい子(ミズノオト・シアターカンパニー)
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今回の作品は、ビューポイントという俳優向けテクニックのワークショップの一環として
創作した短い習作のイメージが原案につながる断片になっています。
俳優が作り上げるイメージの強さと物語の力が共存する作品に出来ればと思っています。
企画:近藤 強
■平松れい子
個人ユニット、ミズノオト・シアターカンパニーという名前で演劇の脚本や演出を担当。
MS. NO TONE(ミズノートーン)の意味は「音痴さん」。視覚中心に細分化された現代に、
音を聞き気配を感じてもらえるような、聞く演劇を目指し、作品づくりをしています。
舞台芸術財団演劇人会議・優秀演出家賞受賞。コメディから不条理まで、アングラから
ミュージカルまで、ジャンルを軽快に往来し、カテゴリーの壁をくぐり抜けていきたいです。
■近藤 強
俳優 / 2007年より青年団に所属
青年団「革命日記」、「冒険王」、「月の岬」などに出演。
他に、ウンゲツィーファ、玉田企画、水素74%、うさぎ庵などの団体にも出演。
映画美学校アクターズ講師。
近藤企画とは、青年団の俳優近藤強が気になる演出家と一緒に作品を制作する企画。