青年団と劇団パークの合同公演
〈ソウルノート〉は2003年劇団パークが原作〈東京ノート〉を上演し韓国演劇界で大きな話題をよんだ作品である。2004年の 〈ソウルノート〉は日本の劇団青年団と韓国の劇団パークの合同公演という形で上演される。青年団の俳優たちと劇団パークの俳優がひとつの舞台に出演し、原作者である平田オリザとパクカンジョンが共同演出をする。日本の俳優と韓国俳優が同時に出演するため二重言語の形態で進行され、日本語のせりふは字幕で処理される。 観客は2ケ国語で同時に進行する作品を観劇でき、新しい経験をすることになるだろう。
90年代日本, ‘静かな演劇’ブームを起こした作品〈東京ノート〉
〈ソウルノート〉の原作である〈東京ノート〉は90年代日本の演劇界で独自の位置を保ちながら‘静かな演劇’と呼ばれるブームを巻き起こした(平田オリザ)の独特なスタイルが詰め込まれた作品だ. また〈東京ノート〉は 95年には岸田戯曲賞を受賞し, 98年にはフランス語に翻訳され、99年にはソウル公演, 2000年にはアメリカニューヨーク公演, 2002年にはヨーロッパ巡回公演、2004年2月に香港、オーストラリア公演もされている。また、2000年にはフランス国内4ヶ所でフランス人キャスト・スタッフによる公演がフランス語で上演された。
静かだが率直で鮮やかな私たちの日常
〈ソウルノート〉は日常を正直に表現している。一緒にいると静寂に包まれて,お互いの感性が磁石のN極S極のように触れあう瞬間にも特別な事件は起きずに、また何事もなく日常へと戻る孤独な人たちが描かれている。
2014年、3次大戦(仮想)によってヨーロッパの美術館に所蔵されていた貴重な美術品がソウルのある美術館に避難してくるという設定で話は始まる。そしてこの美術館のロビーで1年ぶりに再会する家族を中心に物語は進行し、さまざまな動機で美術館を訪れる人々の話が交差してゆく。
日常の断片がそのまま再現されながら、舞台の古典的美学を拒否した鮮やかな口語の自由な重なりが、今日の私たちの生を静かに聞かせてくれる。