劇作家・演出家・青年団主宰。芸術文化観光専門職大学学長
江原河畔劇場 芸術総監督。豊岡演劇祭フェスティバル・ディレクター。
1962年東京生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。
1995年『東京ノート』で第39回岸田國士戯曲賞受賞。1998年『月の岬』で第5回読売演劇大賞優秀演出家賞、最優秀作品賞受賞。2002年『上野動物園再々々襲撃』(脚本・構成・演出)で第9回読売演劇大賞優秀作品賞受賞。2002年『芸術立国論』(集英社新書)で、AICT評論家賞受賞。2003年『その河をこえて、五月』(2002年日韓国民交流記念事業)で、第2回朝日舞台芸術賞グランプリ受賞。2006年モンブラン国際文化賞受賞。2011年フランス文化通信省より芸術文化勲章シュヴァリエ受勲。2019年『日本文学盛衰史』で第22回鶴屋南北戯曲賞受賞。
京都文教大学客員教授、(公財)舞台芸術財団演劇人会議理事、日本演劇学会理事、(一財)地域創造理事、豊岡市文化政策担当参与、宝塚市政策アドバイザー、枚方市文化芸術アドバイザー。
平田オリザは、日本の現代演劇界で、いまもっとも注目されている劇作家・演出家です。大学在学中に劇団「青年団」を旗揚げし、以来、一貫した演劇方法論によって、持続的な活動を続けてきました。平田の提唱する「現代口語演劇理論」という実践的で新しい演劇理論は、『現代口語演劇のために』などの著作にまとめられ、90年代以降の演劇界に強い影響を与え続けています。
平田が芸術総監督を務める「こまばアゴラ劇場」は、日本全国の劇団のほか海外の劇団との相互交流をはかる現代演劇の発信地となっています。平田は、フェスティバル・ディレクターを務めてきた大世紀末演劇展などを通じて、20年近くにわたって、地域の演劇を東京の観客に紹介してきました。この先見性は、90年代に地域演劇が大きくクローズアップされる原動力となってきました。1999年には利賀・新緑(はるの)フェスティバルのフェスティバル・ディレクター、2002〜2006年度まで埼玉県富士見市民文化会館キラリ☆ふじみの芸術監督、2015〜2020年度まで城崎国際アートセンターの芸術監督を務めるなど、その活動は、大きな広がりをみせています。
さらに2000年以降、合同プロジェクトやワークショップを通じて、フランスをはじめ韓国、中国、ベルギーなど海外との交流も深まっています。
2002年に新国立劇場が制作した日韓合同公演『その河をこえて、五月』では、作・演出をつとめ、日韓両国で大きな演劇賞を受賞しました。2007年には日仏合同公演『別れの唄』、日中合同公演『下周村~花に嵐のたとえもあるさ~』を制作。2008年には、ベルギー王立劇場に、はじめて日本人が一人も登場しない戯曲『森の奥』を書き下ろし。2009年には、ブザンソン国立演劇センターにて日本・イラン・フランス合同公演『ユートピア?』、ジュヌビリエ国立演劇センターにてフランス語版『砂と兵隊』を制作。そして、2010年には、コメディ・ド・カーンやパリ市立劇場にて日仏合同公演『鳥の飛ぶ高さ』を上演、BeSeTo演劇祭では日中韓俳優出演・3カ国語版の『東京ノート』を制作するなど、国際共同作業に関しては圧倒的な実績を残し、その国際性は、同世代の演劇人の中では他の追随を許さないものとなっています。
また、2011年には、フランス文化通信省より芸術文化勲章シュヴァリエを受勲。2012年には、フェスティバル・ドートンヌにてアンドロイド版『三人姉妹』・アンドロイド演劇『さようなら』を上演。2014年には、フランスの国民的映画女優イレーヌ・ジャコブを迎えて制作したアンドロイド版『変身』にて、ヨーロッパツアーを実施。2016年には、ドイツのハンブルク州立歌劇場の委嘱により、平田オリザ脚本・演出によるオペラ『海、静かな海』を制作するなど、ヨーロッパの演劇界においても確固たる実績を積み重ねています。
2016年からは、台北・タイ・フィリピンで、『台北ノート』『バンコクノート』『マニラノート』と現地で翻案公演を行い、2020年にはその集大成として、日本・韓国・アメリカ・ウズベキスタンの俳優も参加する『東京ノート・インターナショナルバージョン』を城崎で滞在制作、第0回豊岡演劇祭で初演。2019年より劇団の拠点を兵庫県豊岡市に移し、日高町の円山川河畔の旧町役場を改築して「江原河畔劇場」を設立。
2002年度以降の中学国語教科書、2011年以降の小学校国語教科書に平田のワークショップの方法論に基づいた教材が採用され、多くの子どもたちが教室で演劇を創作する体験を行っています。他にも障がい者とのワークショップ、自治体やNPOなどと連携した総合的な演劇教育プログラムの開発など、多角的な演劇教育活動を展開しています。平田は、2000〜2005年度まで桜美林大学で演劇専攻の教授として教鞭を執り、市民社会に開かれた新しい演劇教育の道を開拓。その後、2006〜2014年度まで大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授として、社会と演劇の接点を生み出すための研究、ロボット演劇プロジェクトを指導するなど、多彩な活動を続けてきました。四国学院大学では学長特別補佐として、地域の大学における演劇教育の可能性を探り、2014年〜2020年度まで東京藝術大学・アートイノベーションセンター(2015年度〜東京藝術大学COI研究推進機構)特任教授、2017〜2020年度まで大阪大学COデザインセンター特任教授を歴任。2021年4月より、演劇と観光を学べる日本初の国公立大学として豊岡市に開学した「芸術文化観光専門職大学」の学長に就任しました。